2013年01月22日

百姓屋の夜遊び

最近、夜が長い。
そして、昼が短い。

だから、百姓は夜の時間にちょびぃっと余裕があるようです。
ときどきは夜遊びでもしよう、という気にもなるってもんです。

ミィ:なんかおもしろいことしたい。
ツグ:おもしろいことってどんなこと?
ミィ:うー。例えばオセロとか?
ツグ:なるほど。買ってくる?
ミィ:3回やったら飽きてゴミになるからいい。

そんな会話をもう何度したことか。

最近、ヒマになると「オセロ」と言うくせ、
最後には結局「いらない」というミィにほとほと嫌気がさしたのか、
ある日、ツグはとうとうオセロをさがしに行ったらしい。
帰ってくるなり、こう言った。

ツグ:オセロね。
ミィ:ん?
ツグ:オセロね、探しに行った。
ミィ:え?買ってきたの?
ツグ:買ってこない。なかった。

それから指で10cmくらいの正方形を作ってみせて
ツグ:百均にこれくらいのは売ってたんだけど、
   これじゃあ面白くないと思って。
   それからアソコもココも行ったけどなくて
   そしたらどうしても欲しくなって
   思いつく限りぜんぶ行ったけどなかった。
といった。

ミィ:最近の子は、オセロも知らずに育っていくのか。
   パソコンでゲームばっかりしよって、けしからん。
と憤慨すると
ツグ:最近の子はパソコンでオセロもできるんだよ。
と言い返された。

あまりに的を射た意見だったので癪に障り
ミィ:オセロってものは指で駒をパチンッと鳴らしながら
   フフン、てドヤ顔するのが楽しいのッ!
と言ってやった。  


Posted by たびんちゅ at 03:18Comments(5)

2013年01月12日

シメシメとシゲシゲのあどけない話

これまでのところ、年賀状は手書きと決めている。
なぜかといえば単純に、ミィは文字を書くのが好きだからである。

年末の厄介仕事のように言われる年賀状書きが、実は割と好きである。
そういう人は世の中にあまりいないだろう。
その、世の中にあまりいないであろうレア感もシメシメ、といった感じに好きである。
このほのかな快感を味わっているのは私だけ、シメシメ。という感じである。

年賀状を書くのも好きであるが頂くのもとっても好きだ。
頂いた賀状は大切に一枚いちまいシゲシゲと眺める。

そしてそこに、手書きの賀状を見出すと、
なんともいえない同朋意識が勝手に生まれる。
いうなればかくれんぼで自分が隠れている場所でばったり別のお友達に出くわすような。
そしてふたりで茂みの向こう側をコソーッと伺い見るような感じ。
こっそり含み笑いを交わすような感じ。

そういうのも、やっぱり好きなんだよなぁ。



  


Posted by たびんちゅ at 22:54Comments(2)

2013年01月12日

2013年が始まっている

沈黙のサニーちゃん その4を書こう書こうと思っているうちに
とっぷり年は暮れ、うっかり年が明け、年号は2013年に変わってしもうた。

(いまさらながら)皆様、あけましておめでとうございます。

その後、サニーちゃんはツグの懸命な手術により着々と快方に向かい
今日も元気に走り回ってくれています。
ツグとミィのふたりも元気に年を越しました。

年明けからずいぶん日が経ってしまいましたが…
新年と言えばやっぱりコレ――『今年の目標』。

ミィ:ツグの今年の目標、なぁに?
ツグ:(しばし沈黙の後)…休日倍増。
ミィ:(しばし考えて)私のは早寝遅起。

ともに四文字熟語でゴロが良いから
今年は久しぶりに書初めでもしようかしら、と思いましたが
どんど焼きで燃やすのが恥ずかしいのでやめておきました。

今年は休日タップリ睡眠タップリで
昼間はガッツリ働きたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。
  


Posted by たびんちゅ at 22:20Comments(0)

2012年12月22日

沈黙のサニーちゃん その3

とにもかくにも(姉の)家には無事にたどり着いて一晩泊めてもらった。
翌朝、サニーちゃんはいつもと変わらず私たちを
横浜から富士宮の私たちの家までやはり文句ひとつ言わずに送ってくれた。
そして私たちはまた平穏な百姓生活に戻った。
いつもと違うのは、ツグがなにやらインターネットであれこれ注文を始めたこと。

うちには車は3台あって、1台はサニーちゃん、
もう1台は軽トラック、あと1台はトラクターである。
トラクターでも車道を走れないことはないのだが
ゆっくりトコトコとしか走らないので普通に乗り回すということはまずない。
軽トラはおもにツグが乗っていて、サニーちゃんは普段はミィが乗っている。
ツグがミィに黙ってサニーちゃんに乗って行ってしまうということはほとんどない。

ところがある日、サニーちゃんに乗ろうとしたら、なんだか違うのである。
なんだか違う。

夕食時に「今日、サニーちゃんどうかした?」とツグに聞いてみたら
ツグはパッと顔を輝かせて「わかる?!」と嬉しそうに答えた。
「止め方がいつもと違った」と返事をしたら
ツグはモジモジしながら「違うのはそれだけ?」と聞くので
「鍵の置き場所もいつもと違った」とさらに返事をしたら
「そうじゃなくて、エアコン直ってたはずなんだけど…」とたまりかねたように言う。
「エアコン。使ってないからわからない」と返事をしたら
「今日、エアコン直したんだよ。多分、明日から使えるよ」と
ツグは残念そうに頭をふりふり言って箸を置いた。
――なんだか悪いことをしたみたいだ。

次の日、「そうだ!エアコン試してみよう」と思ってスイッチに手を伸ばしかけたが
「今日はそんなに寒くないし、ガソリン食いそうだからやめとこう」と思ってやめた。
夕食時にツグにそう報告したら
「温風は車の中の熱を回してるだけだからそんなにガソリン食わないよ。
扇風機と同じくらいしかエネルギー使わないよ」と言って
やっぱり残念そうに頭をふった。
――なんだか悪いことをしたみたいだ。

そのまた翌日になってようやくエアコンを試してみたら
バッチリ温かい空気が出てきて心の中で「ありがとう」と手を合わせた。
  


Posted by たびんちゅ at 21:59Comments(0)

2012年12月16日

沈黙のサニーちゃん その2

そんな訳でサニーちゃんをくるまのお医者様に見せに行こう、と言っていた矢先、
なんとくるまのお医者様はあちらからやってきてくれた。
先日、横浜に行った際に紹介を受けたミィの姉の彼氏殿が
偶然にもくるまのお医者様だったのだ。

その晩は彼らの家に泊めてもらう約束だったので
サニーちゃんに乗ってみてもらうことにする。
期待のこもったまなざしで見つめるツグミのふたり…。

お医者様:あー。多分、サーモスタットが壊れてるんだよ。
     こんなに走っていて水温が上がってこないのはおかしいよね。
     水温が上がらないから、温かい空気が出てこないんだよ。

と、早速にもその名医っぷりを見せてくださる。

ツグ  :じゃあ、そのサーモスタットを変えれば良いわけですね。
お医者様:多分ね。

くるまのお医者様の受診料はほんとうに安くないので自分でできるならありがたい。
「よかったね」と顔を見合わせるツグミのふたりにさらに覆いかぶさる名医の言葉。

お医者様:ところでサイドブレーキのランプが消えないのだけれど…。

サイドブレーキを落としてもランプが消えなくなってから、もうかれこれ1年近く経つ。
すっかり慣れっこになっているふたりが同時に明るく

ツグミ :あ、それは気にしないで下さ~い♪

と答えると、

お医者様:いや、気にした方がいいと思うけど…。
     多分、ブレーキパッドがすり減ってるんだよ。
     それに…。

アレとコレとソレと、とひっきりなしに続く名医の診断。

ミィ  :走って5分も経たないうちにそんなにいろいろ見つかるんじゃあ、
     家に着くころには「廃車にしろ」って言われかねないわね…。

…どうなる、サニーちゃん!?
  


Posted by たびんちゅ at 22:50Comments(2)

2012年12月08日

沈黙のサニーちゃん

野良仕事に配達にと本当に働いてくれる私たちの愛車はサニーちゃん、という。

サニーちゃんが来る前に私たちをあちらこちらへ連れて行ってくれた
先代の車体ナンバーが31で、そちらの愛称がサイチだったので
「2代目だからサニーだね」といってサニーちゃんの名前はアッサリ決まった。

可愛らしい名前のわりに車体はシルバー、
見たところありふれたワンボックスカーであるが、
日々これだけハードに乗っているとさすがに愛着が湧いてくる。
いつも黙々と仕事をしてくれる、私たちにとっては大事なスタッフである。

ある日、冬も深まってきたので暖房を入れようとしたが
いつまでたってもヌルイ風が出てくるばかりでまったく温まらない。
とにかく車は走ってくれることが大切なので
温めてくれないことはまあよし、ということにはなったが
サニーちゃんはどうやら不調らしい。

「どうした、サニーちゃん?」と問いかけても、
サニーちゃんは今日も沈黙を守り続けている。

黙々と働いてくれるのはありがたいが
黙々と壊れていくのはちぃと困る。


  


Posted by たびんちゅ at 08:03Comments(0)

2012年12月02日

冬の爪先はナイーブでござる

その防寒ブーツはいきつけの居酒屋、いやいや(笑)
いきつけのホームセンターで980円で売られていた。

・・・980円。

安すぎるだろう。
でも安いのはありがたい。

寒さが厳しくなってきた折、
ちょうど中がフカフカッとして
私のナイーブな爪先をホカホカッと守ってくれる
防寒ブーツがほしいと思っていたところである。

ちゃんとしたものを買おう、と思っているのだから靴屋に行けばよいものを
貧乏人のサガでやっぱりまずはホームセンターをのぞいてしまう。
そして、そんな私たちの要望にいつもきっちりお応えしてくれる
我らがホームセンターはやっぱり期待どおり、
980円なんぞと魅力的な価格の魅力的な防寒ブーツを用意していてくれる。
それが苦悩の始まり。

これ、本当にちゃんとあったかいのかしら。
どうせ野良履きになるのだからデザインは二の次で
けれど安いがために役に立たないのでは困る。
価格に見合わないほどさんざん迷って結局、お買い上げ。

今日からヨロシクネ、と980円のブーツ様に挨拶してから足を通し、
恐るおそる野良へ出かける。
いつもは30分で凍りつく冷え性の私の爪先は
その日一日温かかった。

980円、バンザイ。

これからの季節も野良に出るのが楽しくなります。
ありがとう。

  


Posted by たびんちゅ at 15:04Comments(0)

2012年11月28日

富良野が富士にやってくる

週末、横浜へ行った。

横浜というのはミィの実家のことだが
横浜ほど「ふるさと」という言葉に馴染まない都市は
ないのではなかろうか。
それでも生まれ育ったのは横浜しかないのだから
横浜が「ふるさと」には違いないのだが
ミィの両親は娘ふたりの独立を機に
それまで住み慣れたマンションをとっとと売り払って
夫婦ふたりだけのためのマンションに移り住んだので
「ふるさと」の感慨はますます遠のいた。
私にとっての「ふるさと」は場所よりもむしろ
「父と母」という人そのものだ、という気がする。

先日、倉本聰さんが2月に静岡で講演する芝居の絡みでラジオ出演した際に
「文通をしている東北の友人がふるさとを『古里』と書いてよこす。
『古里』と書かれるとそれは『ふるさと』とか『故郷』と書くのと違って
ますます、失われた場所に対する悲しみと思いの強さが伝わってくるのだ」
というようなことを言っていらして、私はひどく感心した。
感心したし、正直、狼狽した。

私の中のどこをひっかき回しても
横浜を「古里」と書く情の深さは見つからない。

今季は富士にも来るらしい。
2月4日、富士市文化会館ロゼシアター
「明日、悲別で」

古里をさがしに行こうと思っている。

  


Posted by たびんちゅ at 04:02Comments(0)

2012年11月22日

オヒサマとおいかけっこ

最近、ほんとうに日が短くなってまいりました。

今、タマネギを植えている畑は西側に林が迫っていて
午後の2時くらいになると西側から陰り始めます。
日陰と日向とでは体感温度がずいぶん違うので
朝のうちはなるべく西側で仕事をして、
少しでも長くオヒサマの恩恵にあずかろうします。
だから、午後2時から3時にかけてはいつも焦ってしまいます。
少しでも西側にいときたいけど日陰は嫌だ、
というわけで、オヒサマのあるギリギリのラインあたりを
せっせせっせとタマネギを植えながら東に進んでいきます。
そうすると、オヒサマの方でも気の毒がってか
さっき陰ったところにもう一度光を投げてくれたり、するわけです。
そうすると、植え残したあたりにもう一度チャンスが巡ってきたりするんです。
せっせ、せっせ。

そうこうしているうちに
もう今日は本当にお別れだね、というときがきて
そんなときのオヒサマはいつもとびっきりの光を投げてから
静かに去っていきます。
なんど見ても見飽きないくらいに美しい、とびっきりの光です。
そういうとき「百姓でよかったな~」と
つくづく思います。

ミイの方だって、いつまでもオヒサマと
おいかけっこばかりはしていられません。

タマネギ定植は今日でおしまいです。

  


Posted by たびんちゅ at 13:33Comments(0)

2012年11月17日

秋の夜長に…

珍しくツグは友人宅に出かけたので、
ミイはせいせいと遊んでおります(笑)。
久しぶりにブログを訪れたらもう半年近く更新がないので、
いたずら半分に投稿してみよう、と思って
やっとIDとPASSを探り当てたところでございます。
――シメシメ。

元来、ミイはアマノジャクなところがあって
誰にも注目されないようなところでコッソリ何かをするのが
大好きなんです。
半年もホッタラカシにされたブログはまさに好物。

そろそろ農閑期だし、ツグが気づくまでブログでも書くとしますか…。  


Posted by たびんちゅ at 20:14Comments(2)